- 堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
- 洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
25年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。
こんにちは。
音楽療法士の堀田です。
さて、今日は
「高齢者の音楽療法の意義」についてお話します。
先日、
いつものように特別養護老人ホームに行くと
「先生、○○さんが昨日亡くなりました。」
と職員さんにセッション前に告げられました。
その方は クライアントさんで、99才の女性でした。
でも、
最後は病院ではなく、その施設の自分のベッドの上で亡くなったそうです。
老衰でした。
私は少し悲しくなりましたが
すぐに気を取り直し 笑顔の彼女を思い出して仕事をしました。
彼女は、認知症と診断されていましたが
会話も成立しますし、リズム感は抜群でした。
ただ、
生活の場面では、職員さんに依存する傾向が強く
自分でやろうという意欲がなかったため
音楽療法で、意欲増進を目的として参加していました。
去年の暮れまでセッションに参加していましたが
あまり活気がなくなっていたのは確かです。
しかし むくんだ手でバチを持って太鼓もたたけていましたし
歌詞を読んでいたり、私の質問にもしっかり的確に答えていました。
まさか
こんなに早くお別れがくるとは…。
最後の最後まで力を出し切って
セッションに参加してくれたんだと思います。
感謝ですね。
振り返ってみますと
彼女の治療目的であった
「意欲増進」についてはセッション中においては達成されていました。
また、
生活場面では、時間はかかっても自力で食事をするところまで回復していました。
素晴らしいです。
そして
ここでさらに考えてみたいのが
高齢者の音楽療法の意義です。
確かに音楽療法は、治療目標を設定して実践するものですが、
その前に
「このクライアントさんと音楽療法をする意義は何か?」ということを
明確にしておく必要があると思うのです。
例えば、
99才のクライアントさんにとって音楽療法はどのような意義を持つか?
だとすると、「人生最後のまとめ的意義」とか。
そして
意義の次に治療目標が設定されるのが自然な流れとなります。
この意義については
セラピストのアイデンティティーが深く影響しますので
確立しておくことも必要ですね。
とはいえ
「どんな風に考えたらいいかわからなーい!」という場合は、
高齢者の音楽療法2でお伝えいたします。
ご検討中ならぜひ。↓
音楽療法セラピスト養成講座
では、 今日はこのへんで。
音楽療法士 堀田圭江子