- 堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
- 洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
25年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。
新春の感動をお伝えします。
本日は認知症の方の音楽療法でした。
メンバーは6人。
男女混合です。
その中の男性の一人が、本日冴えに冴え渡っていました。
彼は気分に波があり
調子の良い時はおだやかで、紳士な方です。
しかし
怒りモードに入っている時は
誰が何を言ってもダメ。
そんな彼ですが
今日は紳士の日のようでした。
セッションルームの入り口で
「先生、明けましておめでとうございます。
本年もどうかよろしくお願いします。」とご挨拶してくれました。
ごていねいに恐縮です。
その後
今年の干支は「うし」ですね。
○○さんは何年生まれですか?と質問しました。
すると
「う〜〜〜ん」
腕組みをして下を向きなかなか顔をあげない。
寝てるのかと思いました(笑)。
そして
待つこと3分。
「時忘れしました」
ええっっ????
時忘れってなんだ?
度忘れしたってこと?
それにしても考える時間が長かったけど…
でも私は
「わかりました、では、思い出したら教えてくださいね」と言い
次のプログラムにうつりました。
今日の彼はすごかった。
発言のひとつひとつが誠に光っていました。
富士山を見たことがありますか?の質問に
「とおーくから、見たことがあります。」
(新幹線の車窓から見た意味です)
富士山の歌詞を音読した後に
「これを読んだだけでも、すーっと気持ちがよくなりますね」
そして
セッション最後の終わりの歌を歌い終えると
真っ赤な顔で泣き出して
と言って頭を下げました。
彼のそんな涙を見たのは初めてでした。
普段は、他のことには全く興味を示さない認知症の方が
自分の気持ちをこんなにたくさん表してくれ
お互いに心が通じあったことに感動しました。
今年初めての音楽療法から
感動をありがとうです。
こちらこそ、今年もたくさん学ばせてくださいね。