- 堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
- 洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
25年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。
音楽療法や音楽レクリエーションで
「クライアントの反応が予想と違っても焦らず落ち着いてセッションを進める方法」というお話しです。
先日
ある高齢者施設でセッションをした時のお話しです。
今回は
「さくら」をみんなで歌いました。
そこには
アルツハイマー型認知症の女性Aさんが参加していました。
まずは
全員で歌詞を音読し
1回歌いました。
その際
Aさんは歌詞をしっかり目で追っていたものの
歌いませんでした。
そして2回目。
「みなさん、全員でもう1回歌いましょう」と私がリードして歌いました。
しかしAさんはまた歌わず。
そこで
「Aさん、一緒に歌ってくださいね。Aさんの声が聞きたいです」
と促して3回目歌うもAさんの口は動かず。
私は
Aさんの体調が悪いのかもしれないと思い
「Aさん、具合悪いですか?」と聞くと首を横にふりました。
「じゃあ、今日は歌う気分じゃないのかしら?」と聞くと、、、
「、、、、、歌を聞いて、気持ちよかった」とAさんが答えました。
私は驚きました。
(驚きを抑えながらも)
「そーでしたか」
「みんなの歌を聞いて、気持ちよかったのですね」
と私はAさんに伝えたのです。
Aさんは満足げな顔をしていました。
このように
歌唱を促してもクライアントさんが歌わないという場面や
セラピストの予想とは違う反応はセッションの中ではよく見られることです。
そんな時
セラピストは「自分のリードの仕方が何か悪かったのだろうか?」という思いがよぎったり、
何とかして歌ってもらうために強く促す行動になってしまうことはよくあります。
しかし
クライアントさんの中には
先ほどのAさんのように
「歌を聞くことで良い気持ちになる」
という体験をしている場合もあるのです。
そんな場合、いったいどうしたらいいのでしょうか。
その答えは、、、
「クライアントの中で起きていることをなるべく正しく知ること」
です。
Aさんのように
私たちセラピストは
クライアントに起きていることをなるべく正しく知る
努力が必要になります。
具体的には
クライアントさんを理解する方法の1つに
「質問」があります。
例えば
先ほどのAさんの例のように
「具合がいいか、悪いか」「歌いたいか、歌いたくないか」
などの
そして
クライアントさんの理解力のレベルに合わせて
答えやすいことを質問していき
そのように
クライアントさんの状態を常に知っておくと
焦らずに落ち着いてセッションを進行していけるわけなんです。
とはいえ
いろいろなレベルのクライアントさんがいるし
どのような質問や声かけが適切なのか
よくわからないと言われる方もいらっしゃると思います。
そんな方には、
音楽療法セラピスト養成講座の「高齢者の音楽療法1」をおすすめします。
「高齢者の音楽療法1」では
クライアントさんの意思を引き出す質問や
対応の仕方についてもお話しいたします。
では
今日はこのへんで。
散りゆく桜を楽しみましょう!
音楽療法セラピスト 堀田圭江子
「高齢者の音楽療法1」に参加された受講生の感想もお読みください。
※Yさん 女性(54才)介護職
音楽レクと音楽療法の違いについて知りたくて参加しました。
クリアに理解できました。
- 生きた情報をダイレクトに学べる。
- 実習がある。
※Kさん 女性(42才)介護職
ディサービスで働いているので、高齢者の心身の特徴に合わせ、
効果的に楽しく職場で活かせる音楽療法を行う方法を学びたいと思い参加しました。
次回の
先生のお話が今回も楽しかったです。
あっという間に終了の時間になってしまいました。
次回も楽しみにしています。
※Yさん 女性(47才)介護職
先生が楽しく講義してくださったので
眠くならずに興味深く最後まで学ぶ事ができました。
今日の高齢者体験も良かったです。
ありがとうございます。
※Iさん 女性(58才)自営業
音楽が、実際少しでも高齢者の方に(認知症の方)に有効で、
その症状を改善できるものなのか、一般の書籍では分かり兼ねましたので、
教えていただける場を探しておりました。
思っている以上に、有効な気がしています。
堀田先生からこのように直接ユーモアたっぷりにご指導いただけることに、
とてもありがたく思っております。
受講のみなさんも色々な経験を持つ方がおられ、大変楽しく、
有意義にあっという間に時間がたちました。