- 堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
- 洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
25年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。
高齢者のレクリエーションで利用さんたちをやる気にさせる2ステップについてお話しします。
先日
ある高齢者のディサービスの介護職員の方から、
こんなメールをいただきました。
堀田先生
こんにちは。◯◯と申します。
いつもメールを読ませていただき現場のサポートに取り入れるようにしています。
今ちょっと困っていることがあります。
私はレクリエーションを担当しているのですが
利用者さんのADLの低下もあってか、
意欲がないのです。
でも
やはり体を動かしたり歌ったりして
レクを楽しんでいただきたいのですが、、、
「利用者さんたちのやる気を出す」ために
何かアドバイスをいただけたらと思いメールしました。
よろしくお願いします。
ということで
以下が私の返事です。
◯◯さん
こんにちは。
こちらこそいつもメールをご購読くださりありがとうございます。
早速ですが
アドバイスをさせていただきますね。
1、やる気が出ない理由を確認する
身体面に何かある場合
体調が悪い場合、または病気の前兆などで元気が出ないことはありますよね。
また、病気の進行なども関係している場合もありますので
身体面に問題ない場合
体調に変化がない場合は、やりたくない理由があるかもしれません。
例えば、
- 同じグループに気に入らない人がいるとか
- 家でもめごとがあったとか
- レクの直前に嫌なことがあったとか
- 自分の今の状態をあきらめているとか
などなど、、、
何かその人にとっての不満や不安があると
レクに集中したり、楽しい気持ちになれないことがあります。
そして
やる気が出ない理由がある場合は
無理をさせないことが大切です。
レクや音楽療法のセッションでは
その方の参加できるところだけ参加してもらい
部分的な参加でもOKとしましょう。
また元気になった時や
不安や不満がない時は参加可能になります。
2、個別に一言声をかける
レクや音楽療法のセッションでは、
歌う、ゲーム、しりとり、風船バレー、
などのいろいろなプログラムを提供すると思います。
例えば
「では◯◯という曲をみなさんで歌いましょう」
「さんはい」
~うたう~
「はい、次は◯◯の曲です」
という具合で進められているかもしれません。
もちろん悪くないのですが、
利用者のやる気を出させるためには
担当になった人は、
その観察ポイントは
- 口が動いているか
- 声がでているか
- 口は動いていないが歌詞を目で追っているか
- 体のどこかでリズムをとっているか
などの箇所です。
そして
歌った後に、
普段よりできている人には
「◯◯さん、今日は声が出ていましたね」
下を向かず顔が上がって姿勢よくなっていた人には
「◯◯さんの顔がバッチリ見えましたよ」
普段より歌っていなかったり、下を向いている場合は
「◯◯さん、どこか痛くはないですか?」
「元気出してみましょう」
などの声かけをします。
声かけすると
利用者さんたちは
「自分のことをちゃんと見てくれているのだ」という
安心感と大切にされているという肯定感を感じることができます。
その体験が数多くできることで
「やってみるか」というやる気につながっていきます。
でも、
20人も30人もいるレクでは個別に声をかけていられない
という場合は、、、、
レクの時間内に半分くらいの人に声をかけます。
残りの人には、
他の場面(部屋移動や送迎の前後や送迎中、入浴中など)の時間を活用して、
「さっきは楽しそうにしてましたね」とか「またやりましょう」など
フォローの言葉をかけているといいです。
というわけで
利用者さんたちは、
「自分を見て欲しい」という気持ちがあるので
まずその欲求を充してあげることが大事なんです。
そして
その欲求が満たされると気持ちが落ち着き、
その後に「やってみよう」というやる気が出てきます。
- やる気が出ない理由を確認する
- 個別に一言声をかける
この2段階方式で
時間はかかるかもしれませんが
試してみてくださいね。
取り急ぎお返事まで。
堀田
ということで
「利用さんたちをやる気にさせる」ためのアドバイスをさせていただきました。
参考にしていただけましたら
幸いです。
さらに
サポートで苦慮されていると思われる
重度の認知症やアルツハイマー型認知症、
レビー小体型認知症の方への
効果的な声かけや反応を促す音楽の使い方については
「高齢者の音楽療法2」で
実例を紹介しながら、わかりやすくお話します。
音楽療法セラピスト養成講座は
どの講座からでもスタートできるので
ぜひ、ご参加くださいね。
それでは
きょうはこのへんで。
音楽療法セラピスト 堀田圭江子