- 堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
- 洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
25年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。
「認知症で意欲が全くなかった男性が元気を取り戻した」というお話しです。
ある高齢者施設に
80代で認知症と診断され、
発語も少なく、食事をはじめ身の周り全てを介助されていた男性Aさんがいます。
そのAさん、
音楽療法に参加した当初
名前を何度も促してやっと「◯◯」と答え、
その他のプログラムにも反応がなく
ほとんど寝ていました。(夜間起きているため昼間は眠い)
普段の生活でも
食事の時は、口を開けるだけで自分でスプーンを持たず
食べさせてもらい、表情も平板で変化がなく
食事以外は寝て過ごす状態でした。
そんな状態でしたが
セッションに参加して3年経過した最近、
他の入居者さんから
と言われているそうです。
確かに、認知症の彼は変わりました。
なぜなら、、、
- 昼間起きている
- 自力でスプーンを持ってご飯を食べる
- 発語が増えた
- 体重が増えて体力もついた
- 表情にバリエーションがある
- 太鼓をたたける
- 歌も少し歌う
- 体操もする
などなど
行動と身体状況に変化がみられるようになったからです。
もちろん
いきなりの変化ではありませんでしたが
徐々に元気になっていきました。
音楽療法のセッションでどんなことをしたか
認知症のAさんの意欲を上げるために
音楽療法ではどんなことに注意してセッションしていたかといいますと
- セラピストとの信頼関係をしっかり作る
- 楽器の演奏や課題性をもったプログラムに参加した際には
正当評価をする(おべっかは使わない) - 頑張りすぎないように、休憩もセッションに入れる
- クライアントの体調や意思を尊重し、強制しないで彼のペースで進める
という点を特に心がけてセッションしていました。
そしてもうひとつ
彼の変化に欠かせなかったことがあります。
それは
セッションには
施設職員の方々1名から2名いつも参加してくださいます。
そして
セッションの様子や反応を
Aさんの居室担当者やその階の職員さんに伝えてくださったり
また、
普段の様子をセラピストに伝達していただいていたのです。
そのおかげもあり
Aさんは徐々に元気になられたのではないかと思います。
というわけで
認知症で意欲が低下していた方でも
音楽療法に参加されて
元気を取り戻すことができた例をご紹介しました。
さらに詳しいお話しはこちらです。
音楽療法セラピスト養成講座
ではでは
今日はこのへんで。
音楽療法セラピスト 堀田圭江子