- 堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
- 洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
30年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。
ある有料老人ホームでの
音楽療法セッションで想定外の反応から気づいたことをご紹介しますね。
昨日2月3日節分の日に実施したセッションのことです。
その老人ホームは、認知症の方や、お元気な方、失語症の方を含め25名前後の方たちが参加しているセッションです。
平均年齢は85歳くらいで、年長の方は98歳です。
節分の日、その方たちとセッションをしました。
ではここからは、実際の会話を交えてご紹介します。
堀田:2月3日といえば節分ですね。
参加者全員:はい
堀田:このホームでは豆まきしますか?
参加者A:午後3時から、豆まきをします。鬼は施設長です。あはは。
堀田:そーですか。それじゃ、はりきって豆をまかないといけませんね。
参加者B:腕がなるなあ。あはは。
堀田:では、豆まきに向けて発声練習にこの歌を歌ってみましょうか。
(「豆まき」の歌詞を指し)でも、みなさん、この歌ご存知ですか?
参加者のほんとんど:首をひねる
堀田:では、まず私が歌ってみますね。「鬼は外~、福はうち~」
参加者のほとんど:初めて聞いた。知らなかった。へー。
堀田:あら、意外とご存知なかったんですね。でも、いい歌なので、みなさんで覚えましょうよ。
参加者全員:うんうん。
この後、全員で豆まきの歌をゆっくり6回ほど歌いました。
そうしましたら歌えるようになったのです。
堀田:みなさん、すごい。覚えちゃったじゃないですか。やりますね。
参加者C:歌えた!できたよー。
そして、その中の何人かは、初めての曲を覚えられたことに喜びを感じていたようでした。
私も、その喜びの表情を見て嬉しくなりました。
この一コマから気づいたこ
この場面は、「新曲を覚えて歌う」というプログラムでした。
豆まきの曲は確かに短い曲で簡単なメロディーなのですが、その場で歌えるようになるのは想定外でした。
しかし、彼らは覚えて歌えるようになりました。
一般的には、高齢者の方、認知症の方は新しいことを記憶しにくいと考えらており、あまり新しいことに挑戦する場面や機会が少ないと思われます。
しかし、私のセッション場面では、このセッション以外にも新しいことを覚えてくださる場面を度々見ます。
そしてその後に、参加者の表情や言葉に力強さや輝きがあることもよく見かけるのです。
まとめ
それを見るにつけ、、、
高齢者の方はまだまだたくさんの力をお持ちで使っていないだけなのだということを感じます。
なのでこれからも、高齢者の方には新しいことへも挑戦し、自信を回復していただけるようなプログラムを提供していきたいと思っています。
ちなみに、音楽を使った高齢者の方へのプログラムの詳しいお話しは
「高齢者の音楽療法2」でお伝えしています。
では、今日はこのへんで。
音楽療法セラピスト 堀田圭江子
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