堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
堀田圭江子
洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
25年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。

私は過去に教員をしていたことがある。

もちろん音楽の先生。

(なぜか、冬はスキー授業も持っていたけど…)

 

その時に
授業中にちっともじっとしていない生徒がいた。

みんながリコーダー吹いている時も
歌ってる時も
プリント学習している時も
ちょろちょろしているのだ。

私も最初は注意していたが
途中であきらめた。

そうしたある日
私がピアノを弾いてみんなの歌の伴奏をしていると
私の背中にぴたーっと何かがくっついた。

 

えっっ、なに?

 

生徒の一人が
「○○が、座ってるぞー。しかも先生の後ろに」というではないか。

 

ピアノの弾くのをやめると、みんなも歌うのをやめて
教室は「シーン」となった。

 

おそるおそる後ろを見ると
その問題の彼がいた。

 

あんた、そこにいたいの?

「うん。」

その日から、そこが彼の指定席になった。

 

そこにいて音楽がある時だけは
彼が落ち着いていられるのだ。

 

居場所が見つかって安心しているようだった。

クラスのみんなも嬉しそうだった。

音楽ってすごいね。